事業者に対する責任追及
不幸にも、出会い系サイトやアダルトサイトで被害に遭ってしまった場合、法的にみると、業者に対する刑事手続を介しての解決と、業者に対する民事上の請求による解決とが考えられます。
刑事手続
どのようなケースであれば業者が捕まって罰を受けることになるのか、という刑事事案についてご説明します(なお、ここでの説明は、類似する全てのケースに適用できるわけではありません)。
犯罪に該当するような事実があれば、警察に被害届を出したり警察や検察に告訴することで、犯罪捜査の対象にしてもらうことができるかもしれません。
詐欺罪
詐欺罪(刑法246条)が成立する可能性があります。
人をだまして、お金などの財産をもらおうとする行為は詐欺罪になります。その人が、出会い系サイト業者が用意したサクラであることを隠してあなたと接触してきたのであれば、その業者はあなたをだましてポイントを買わせていることになりますので、それは詐欺罪になりえます。
恐喝罪
恐喝罪(刑法249条)が成立する可能性があります。
言うことを聞かないと怪我するぞ、お金を払わないとどうなるかわからないぞ、など、人の体や財産に対して脅しをかけてお金を払わせる行為は恐喝罪になります。また、実際には表示を消すつもりはないのに表示を消すと言って30万円を振り込ませている点を捉えれば、詐欺罪の成立も検討できるケースと言えるでしょう。
民事上の請求
契約が成立したか?
この場合、支払う必要はありません。
そもそも出会い系サイトの利用契約が成立していなければ、あなたは料金を支払う必要はありません。この契約は、業者から「サイトのサービス内容」と「利用料金」を提示してもらい、あなたがこれに同意してはじめて成立します。料金もサービスもよくわからないままクリックしただけで契約が成立したことにはなりません。
詐欺による取消し
業者は最初、「サクラは一切ない」といってあなたを勧誘したのですから、それに反してサクラを使ってあなたからお金をもらっていたのであれば、当然、だましていたということになります。 このような場合、あなたは詐欺による取り消し(民法96条)をすることができます。 ちなみに、あなたがこの出会い系サイト業者がサクラを使用していないということが契約の大きな動機となっているはずです。このような場合は、あなたが思っていたサービスと実際のサービスとに大きな隔たりがあったのですから、そもそも無効だ、と言える可能性もあります(錯誤無効。民法95条)。
既に支払ったお金は?
まだお金を払う前の段階では、契約の無効を主張したり詐欺取消や錯誤無効の主張をしたりすることで、相手からの請求を拒むことができます。
他方、既にお金を支払ってしまった場合は、契約の不成立や詐欺、錯誤等の主張を前提として不当利得の返還を請求する、あるいは不法行為に基づく損害賠償請求をするなどの方法が可能となります。
どのような責任追及をすればよいか?
上記の他にも、事案によって、脅迫による取消の主張や公序良俗違反の主張など、法的な対応方法が考えられます。
被害に遭った場合には、一度、法律の専門家に相談することをお勧めします。
インターネット詐欺被害対策会議では、サクラサイト等の被害回復に取り組んでいる弁護士・司法書士が相談を受け付けております。